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「南氷洋の捕鯨」

  • 2008-01-26 (土) 23:18
  • Books

最近再読した本。
南氷洋の捕鯨(岩波写真文庫 赤瀬川原平セレクション 復刻版)

底本は1950年の出版。日本のIWC加入は1951年。商業捕鯨が禁止されるはるか前の本で、序文に「毎年、南氷洋に夏がおとずれると、各国の捕鯨船隊がおしかけて、はげしい競争がくりひろげられる」 と書かれている時代である。内容的には多少古いかもしれないが、南氷洋での捕鯨船団の実際について把握するには良い入門書であろう。
環境保護とかエコロジーという言葉はまだ一般的ではない時代だが、戦前の乱獲の反省をふまえて管理捕鯨の重要さに繰り返し触れている。

最近のオーストラリア政変以来、捕鯨問題がたいへん注目されている。2ちゃんねるやmixiでも百家争鳴だが、それらの書き込みの応酬の中で定説あるいは大前提として語られている事柄について、この「南氷洋の捕鯨」ではまったく別の説明がなされているものがいくつかあった。
それと同時に、ある重要な事実がさらりと書かれている。

南氷洋の捕鯨に参加していた国々はたがいに濫獲をいましめ、いつまでも捕鯨がつづけられるように、集まりを作っていろいろな申合わせをしていた。それにもかかわらず日本はその集まりにはいらないばかりか、申合わせによって鯨をとっている外国船隊をしりめに、見さかいなく捕りまくり、獲物の四分の一までが申合わせに反したものだったという。戦争が終わって捕鯨が許されても各国からはげしい反対がたえなかったのは、ひとつには戦前の悪評のむくいであろう。

この戦前の大濫獲の悪評と印象が尾を引いているために、日本がIWCで科学的データを提出したり調査捕鯨だと説明しても根本的に信用されなかったのではないだろうか。

話は飛んで、パタゴニア社の話。
その前に背景をちょっと説明する。パタゴニア社は昔から自然保護運動に熱心で、商品のリサイクルシステムの構築や、オーガニックコットンやリサイクルフリースの率先採用等を行っていた。そうした運動の一環で収益の1%を自然保護団体に寄付して援助していた。こうした企業姿勢もまた、パタゴニアのブランドイメージを高めていたのである。
その援助先の団体にシーシェパードとグリーンピースという、銭ゲバ環境テロリストが名を連ねていたと。

当然ながらパタゴニア商品のファンは怒った。特に、自然保護や環境問題に関心が強い、問題意識の高い人ほど裏切られた感から大いに怒った。電凸やメール送信をした。そしてパタゴニアの返答、公式見解に失望した。その大意。
「シーシェパードとグリーンピースを援助した。自然保護団体だからやった。今も反省していない」

という訳で、もうパタ製品は着ないの買わないの返品するのという感情の吐露がネット上にうず巻き、そこにグリーンピースのシンパと問題意識の大変大変薄いパタ商品ファンと野次馬が入り乱れ、俺はもうメンドクサイから一連の騒ぎを傍観するだけにしたいと、まあそういう状況なんである。

で、なぜパタゴニアは問題のある団体と知りつつも手を切ろうとしないのか、その事を考えているうちに、米澤前代表とコミケットの理念との類似性が思い浮かんだ。
来るもの拒まず去るもの追わず、多様性を大切にして拒絶や排除は最後の手段、清濁あわせ飲み、大事な事は自分で考え行動せよ。
俺はコミケットの理念をこのように理解しているが、もしかしたらパタゴニアの創設者(存命)のイボン・シュナードもこれに近い理念を持っている人なのではないだろうか。
自然とは必ずしも香りかぐわしく見目うるわしいとは限らない。例えば硫黄山は荒涼とした白い山肌から悪臭の噴煙を吹き出しているが、そこに硫黄採掘プラントをおっ立てるなどという開発計画があればやはり看過できないだろう。多様性とあるがままの姿の維持が自然保護の基本であり、個人的な好みで選り好みしてはいかんのだ。

相手が環境テロリストのレベルとなるとパタゴニアも流石に支援を考え直すべきだろうと思うが。

Comments:3

トヨ 08-01-27 (日) 19:59

パタゴニア自体がテロ思想の企業という最悪なオチを考えてしまいました・・。

ITHACA 08-01-27 (日) 21:50

「新造人間キャシャーン」のラスボス、ブライキング・ボスがパタゴニアの社長だったオチ。

しらい(こ) 08-01-28 (月) 6:28

捕鯨問題はやはり複雑ですね。最近、ついに捕鯨支持派が反捕鯨派を1票ですけど上回ったと聞きました。日本のロビー活動もやるときはやりますね。
昔は南太平洋の(明らかに鯨を捕っていそうな)島国も反捕鯨派だったらしいですね。何でも欧米に唆されて、票を売っちゃったかららしいです。それらの国々は、そのことを悔やんでいるとか聞いたことがあります。えげつないですよね。

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