Archive for 2月, 2004

故園黄葉

最近買った本。

七十の手習ひ(阿川弘之、講談社文庫 562円+税)
故園黄葉(阿川弘之、講談社文庫 533円+税)
現代の軍艦(堀元美、出版協同社 360円)

いずれも古本。
「現代の軍艦」は昭和32年11月の初版本。堀元美氏は終戦時の海軍技術中佐。
1957年当時の「現代」なので内容的には当然古めかしいが、むしろ読みどころは冒頭の執筆動機についての一文。
戦前・戦中に軍事研究が軍機構による秘密主義・セクショナリズムに陥った事の反省
をふまえ、民間でこうした軍事研究が積極的になされるべきであると説く。
なぜならば、一国の軍事力は政府や軍の所有物ではなく、「防衛そのものが国民のものでなければならない」からだ。
そして続ける。「今一つ大切なことは、国民の側において、防衛問題について具体的な理解をもつことである。委ね切っての無関心は、積極的な反対よりも悪質である。」
今では軍事研究なぞポエニ戦争からサマワの陸自に至るまで、あらゆるテーマの研究が当然のようになされているが、1957年当時の時代背景を考えるとなかなか大胆な提言であったろう。

堀氏はさらに、新聞や雑誌が軍備に関してあまりに低レベルな記事・論評しか示さないことを批判する。「再軍備を支持しますか、しませんか、などという単純極まるアンケートだけで世論を推定するなどという、国民を愚弄するようなことが、国の将来に如何なる結果を及ぼすと思っているのだろうか?」
繰り返すが、1957年当時の批判である。やり玉に挙げているのはTVニュースの『世論調査』やポータルサイトの『Web投票』ではない。
堀氏がよほどの慧眼であったのか、あるいは・・・・・・?

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エニグマ暗号戦

最近買った本。

エニグマ暗号戦(広田厚司、光文社NF文庫 448円+税)

「エニグマ暗号戦」は最近の大当たり。約半分は暗号システムやハードウェアのテクニカルな解説だが読み応えあり。
絶対に破れぬ暗号システムとしてドイツが誇った「エニグマ」と、その解読に挑んだ英国ブラッチェリーパークの「ウルトラ情報」の骨太なノンフィクション。
エニグマを始めとしたドイツの暗号システムに対する挑戦とその成功は1974年に至るまで英国政府の最高機密であり続け、今なお明らかにされない部分も多い。それでも、現在までに明らかになった「エニグマ」を巡る物語は瞠目に値する。
かなり高い精度で解読に成功していたこと。その解読対象はドイツ軍の末端部隊間の通信にまで至っていたこと。その解読によって得た「ウルトラシークレット」はソ連を含む連合国の作戦に大いに貢献したこと。エニグマ解読の事実が探知されぬよう、ウルトラ情報の出どころについては入念細心に偽装が施されたこと。この暗号戦の全貌が全て公開されたら、ベルリンの壁崩壊やソ連解体による東側史料の再発見以上のインパクトをWW2の戦史研究に与えるのではないだろうか。
例えば、北アフリカ戦を書いた古典的名著「砂漠のキツネ」。
この本でパウル・カレルは、地中海での独伊輸送艦隊の大損害やエル・アラメインの大敗の要因としてイタリアあるいはドイツの首脳部の「確かに存在する筈だが正体不明の裏切り者」を挙げている。実は裏切り者やスパイどころか、エニグマの解読によってロンメル側の動きが一切合財つつ抜けであったのだとすると・・・・・・!?
これが真相かどうかはわからないが、魅力的な仮説ではあろう。

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トンデモ一行知識の逆襲

昨日買った、もう一冊の本。

トンデモ一行知識の逆襲(唐沢俊一、ちくま文庫 560円+税)

TV番組「トリビアの泉」のヒットで雑学本が流行っているが、その番組スーパーバイザーでもある唐沢俊一による、ある意味元祖の本の第二段。そこはカラシュンのことであるから只の雑学本ではなく、一行知識をマクラにした知的好奇心を刺激する好エッセイ集となっている。
しかし、むしろ読みどころは「付」として収録された星新一追悼の短文だろう。

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褐色の装甲

今日買った本。

褐色の装甲(東郷隆、小学館文庫 600円+税)

ヘルガ三部作、待望の再版開始。その初弾。
日本の冒険小説の個人的ベストの一角を占める一冊であったので、この度の再版は実にめでたい。
初版時の中公Cノベルスでは「褐色の装甲<ヘルガ>」とルビが振ってあり、その他にも加筆修正があるが特記すべき大修正はないようだ。

「ヘルガ」のパーソナルネームを与えられたT-55を狂言回しに、西アフリカの小国モガンボでの闘いを描くヘルガ三部作の「褐色の装甲<ヘルガ>」は1988年7月、「密林の戦車狩り」が1989年9月、「砲撃目標ゼロ」1990年6月に初版。ちょうど昭和から平成に御代が移る時期である。「仮想戦記」ブームのはるか以前、冒険小説や軍事小説に筆を染める作家が日本には稀だった頃で、そんな中に突如出版された「褐色の装甲<ヘルガ>」の東郷隆は正に期待の新星だった。
だが、残念な事に、冒険小説はヘルガ3部作と「定吉七番」シリーズのみを発表して時代小説に移行してしまった。しかも「定吉七番」は007のパロディアクションなので、純粋な冒険小説はヘルガ3部作だけである。惜しい事だ。
ヘルガ3部作の再版を機にこの傑作が広く再評価されることを願ってやまない。

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昭和天皇語録

最近買った本。

昭和天皇語録(黒田勝弘・畑好秀 編、講談社学術文庫 1150円+税)

昭和天皇の即位から晩年に至るまでの語録。勅書からふと出た寸言まで、様々な言葉が時系列順に。
特に戦前の軍部独走・右傾化の傾向にしばしば難を漏らしたあたりと、戦後復興期に国民の苦難を案ずる言葉に率直な心情が出ており、良い。

V-MATの2日目だが、前日までに入手できたものでもうおなかいっぱいなので、大人しく保険代理店の資格試験テキストを斜め読みしつつラグナロクで経験値稼ぎ。これでいいのか。

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